モルフェウスの領域
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    JUGEMテーマ:読書

    「コールドスリープ」という技術が認可された。
    今の医術では治療できないが、数年後に治療可能となる患者が対象で、凍眠期間は五年間。

    目覚めた後、記憶を保持したまま眠る前の生活に戻るか、全てを忘れてリセットするかを選べるというシステムになっている。

    その世界初の患者は小学生のアツシ。

    彼は網膜芽腫の再発により両目が失明の危機にあったため、東城大学医学部から桜宮市にある未来医学探究センターに移されてきた。

    彼の生命活動を維持する担当になったのは、日比野涼子。
    彼女は幼いころより父親の仕事の都合で各国を巡り、語学も堪能で多少の外科の知識がある女性だ。

    毎日単調な機械のチェックを行いながら、地下に眠る少年に次第に言葉には出来ない感情を抱き始める日比野。

    「コールドスリープ」について独自に学んでいた彼女は、ある日このシステムと理論が、目覚めた彼にとって重大な問題を引き起こす可能性があることに気づく。


    日進月歩の医学の世界。
    たとえ今、治療法がなくても、将来には画期的な薬や手術方法が見つかるかもしれない。

    そのための措置がコールドスリープ。

    それは、命を脅かされている人たちにとって、魅力的なシステムです。
    そして、特別遠い未来の話というわけでもない。

    けれど一方で、その機械を動かすための人件費やその他の費用は莫大だし、数年をめどに治療法が確立されていない人たちには適応されないし、目覚めた時に必ず治療出来るという保証はない。

    もろ刃の剣と言わざるを得ないシステムなんですね。

    人は、連続した時間の中で、経験を積むことによって個を確立していきます。
    それが途中でも途切れるということは、すごく負担。

    そして、先の未来が予想できない以上、どんな事態になっているか、どんな時代になっているのかすらも分からないのは、恐怖でもあります。

    夢の機械と同時に幻の機械でもある「コールドスリープ」

    なかなかスリリングな最先端医療ミステリーでした。
    posted by: 黒猫 | 読書・絵本の感想 | 08:43 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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